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ブラジル発・遠隔視覚支援(AR)が変える「現場の解像度」 ─Octágoraの「動画記録 × CRM連携」が示す、顧客対応の新設計思想

2026.02.16 COLUMN

#新規事業#テクノロジー

4. 組織構造の変革:職能としての「リモートエンジニア」

Octágoraの導入は、顧客企業の組織構造そのものに変革をもたらしています。

たとえば建設業界では、従来「現場の技術者が外回りを担当し、コールセンターは受け付けのみを行う」という分業が一般的でしたが、現在は、コールセンター側に高度な技術判断を行うスペシャリストを擁する「遠隔診断チーム」を新設する動きが加速しています。このチームには施工や設備に精通した専門人材が配置され、顧客のスマートフォン越しに送られてくる映像を基に、保証対象の可否や故障の原因をリアルタイムで正確に判断します。

現場の状況を事前に可視化できるようになることで、不要な訪問を抑制できるだけではありません。訪問が必要な際も、あらかじめ「必要な部品と手順」を特定してから現地へ向かえるため、準備の精度を飛躍的に高める役割を果たしています。

現在、ブラジルの求人サイトでは、実際に「Octágoraプラットフォームを用いたリモート診断を担当する技術エンジニア」といった職種が掲載される例も増えています。単なるツールの導入を超えて、「遠隔で現場を診る」という職能そのものが、新たな業務標準として確立されつつあるのです。

 

©Octágora

 

【参考】Octágora導入による現場変革と効果

Octágoraは、業界ごとに異なる課題を抱える企業において、「不要な現場訪問の削減」と「意思決定の前倒し」という共通の効果を生み出してきました。代表的な導入事例とその成果を以下に整理します。

●建設業:訪問件数を約40%削減
住宅の引き渡し後のトラブル対応において、遠隔の専門チームが映像を通じて施工状況や保証範囲を正確に判定。真に訪問が必要な場合にのみリソースを集中させるフローへと刷新されました。その結果、技術者の現場訪問を約40%削減することに成功しています。

●エネルギー・ガス:リードタイムを40日超から数日へ短縮
ガス設備の新規設置前に行う安全確認を、動画とAR注釈を用いて実施。物理的な訪問待ちを解消し、案件完了までの期間を劇的に短縮しました。「年間のコスト削減効果だけで、Octágoraの利用料を十分に回収できている」という極めて高い投資対効果(ROI)が確認されたケースもあります。

●通信業:訪問削減と顧客満足度(NPS)向上を同時に実現
モデムの再起動や配線確認など、単純ながらも電話では伝わりにくい作業に関して、映像上に指示を書き込んで支援。この対応が「分かりやすい」「安心感がある」と支持され、訪問件数の削減だけでなく、NPS(ネット・プロモーター・スコア)の向上も同時に実現しました。

●アグリテック:遠隔地対応による新市場の開拓
現在は農業機械のメンテナンス分野にも本格展開しています。広大な農地への出張コスト(1回あたり約9万〜23万円( R$3,000〜R$8,000))を回避。同社はこのモデルを「機械のための遠隔医療(telemedicina das máquinas)」と呼び、QRコードから即時にエンジニアと接続できる仕組みを構築し、広域なサポート体制を実現しています。

Ⅲ. サービスの独自性:なぜ「WhatsAppではダメ」なのか

1. 大企業が求めるのは「ビデオ」ではなく「ガバナンス」

Octágoraの導入検討において、しばしば投げかけられる問いがあります。それは、「映像で状況を見るだけなら、WhatsAppやZoomで十分ではないのか」というものです。

これに対し、Octágoraの答えは明確です。企業が真に求めているのは、単なるビデオ通話の機能ではなく、統制された形で顧客対応を管理・記録できる「ガバナンス」だからです。

汎用的なビデオ通話ツールでは、対応データが個人の端末や複数のクラウドストレージに分散してしまい、コンプライアンス要件を満たす「保存・検索・監査」を行うことが困難です。一方、Octágoraではすべてのビデオセッションが自動的に記録され、トランスクリプション(文字起こし)、AR注釈、操作ログといった付随情報とともに、顧客や案件単位で厳格に一元管理されます。

特筆すべきは、既存のCRMやコールセンターシステムとのシームレスな連携です。オペレーターは使い慣れたCRM画面からワンクリックでセッションを開始でき、終了後には録画データや対応履歴が自動的に該当するチケット(案件)へと紐づけられます。このように、日常業務の流れの中に「記録」が無理なく組み込まれることで、ガバナンスは初めて実効性を持つのです。

また、100%クラウドベースのSaaSであり、インストール不要で導入できる点も強みです。標準的なオペレーションであれば、最短2〜3日程度で稼働を開始できるほど実装作業が標準化されており、導入時の技術的なボトルネックになりにくい構造です。

つまり、Octágoraが提供している価値の本質は「映像が見えること」そのものではなく、そのやり取りを組織として「記録・説明し、資産として管理できる状態」を構築できる点にあるのです。

2. 「動画記録× CRM 統合」がもたらす二つの価値

前述したOctágoraの「ガバナンス重視の設計」は、副次的に「資産としてのデータ」を生み出します。単に映像を残すだけでなく、対応の「プロセス」と「結果」が紐づくことで、以下の二つの領域において大きな価値を発揮します。

①業務改善サイクルへの組み込み

対応終了時に入力される以下の項目を、CRM上の案件に紐づけて管理します。これにより、「特定の問い合わせが長期化するボトルネックはどこか」「不満につながりやすい対応パターンは何か」といった課題に対し、実際の録画映像をエビデンスとして具体的な改善策を練ることが可能になります。

●クローズ結果:問題は解決したのか、未解決なのか
●成否の要因:なぜその結果に至ったのか
●顧客評価:対応後のNPSやCSAT(顧客満足度)

②教育資産としての活用

膨大な記録の中から、CRMのインデックス(索引)を基に「見るべきケース」をピンポイントで抽出できます。

●鮮やかに解決に導いたベストプラクティス
●顧客満足度が極めて高かった対応
●初学者が陥りやすい典型的な失敗事例

ベテラン技術者がどの順番で現場を確認し、どの情報を重視し、どのような説明を行ったのか――。これらを「文脈付きの生きた教材」として社内で共有することで、教育の質を飛躍的に高めることができます。

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